名古屋大学言語学公開講演会(11月3日(土), 19日(月), 20日(火))のご案内


(1) 11月3日(土・祝) 午後4時~5時半
第55回日本語教育学分野公開講演会
演題:「共通語としての英語を介したサービスエンカウンター -参与役割、知識技能、言語能力の非対称性をめぐって-」

https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/event/event-sub2/55.html

後援:平成30年度名古屋大学人文学研究科研究プロジェクト経費「言語学・応用言語学分野の教育・研究促進プロジェクト」

講師:柳町智治先生(北星学園大学)
場所:名古屋大学全学教育棟北棟4階406室
http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/
(キャンパスマップ内のB4①の建物: 名古屋市営地下鉄名城線「名古屋大学」駅①番出口徒歩5分)
入場無料・事前申し込み不要

問い合わせ: 林 誠 <m.hayashi(AT)nagoya-u.jp> ATを@に置き換えてください
概要:

本発表では、日本国内のリゾートのスキーショップで日本語母語のスタッフと海外からの顧客が共通語としての英語を用いてやりとりする場面を、3つの非対称性に注目しながら検討していく。
まず、スタッフと顧客の間にはその参与役割と関連して、供与・享受されるサービスの内容に関する責任と期待をめぐる非対称性が見られ、両者のやりとりはサービスの価値や相手に対する信頼とも関連しながら組織されていく。さらに、スキー用具の修理と技術に関する専門家であるスタッフに対し顧客は素人であり、知識と技能をめぐる非対称性も両者のやりとりには関わってくる。最後に、日本語が母語のスタッフと英語が母語または第二言話である顧客は言語能力においても非対称の関係にある。それでも、両者間で相互理解にすぐに至らないことがあったとしても、それは言語的な問題というよりは専門的な知識や技能に関連したものとして取り扱われる。
外国語を介したサービスエンカウンターは、スタッフと顧客が自らの参与役割、知識技能、言語能力を表示、交渉する過程で相互行為的につくり上げられていくものであり、その成否は日本語母語スタッフの外国語能力のみに還元できるようなものではないのである。


(2) 11月19日(月)午後4時半~6時

言語学分野第8回公開講演会
演題:「韓国人日本語学習者による日本語丁寧体の関係節内使用制約の認知処理」

https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/event/event-sub2/8.html

講師:玉岡賀津雄先生(名古屋大学)
場所:名古屋大学全学教育棟北棟4階406室
http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/
(キャンパスマップ内のB4①の建物: 名古屋市営地下鉄名城線「名古屋大学」駅①番出口徒歩5分)
入場無料・事前申し込み不要

問い合わせ: 堀江薫 < horie.kaoru(AT)c.mbox.nagoya-u.ac.jp >

概要:
日本語の丁寧体は,時制句(TP; tense phrase)よりも上位構造の発話行為句(SAP; speech act phrase)レベルで派生すると考えられるので,丁寧体接尾辞のマス(politeness suffix –masu)は,埋め込み文内(embedded clause,関係節を含む; 日本語の埋め込み文の詳細は,Horie, 2018を参照)では派生できないという一般規則を生み出す(Miyagawa, 1987, 2012,
2017)ことになる。

(1)  直子は誰が来るか尋ねた。
(2) *直子は誰が来ますか尋ねた。

第1言語(L1)と第2言語(L2)の文処理において,両言語間の語彙・統語的特徴が類似していれば,習得が容易であるとされている。日韓両言語において,関係節内で丁寧体が使われないという制約は同じである。そのため,韓国人日本語学習者は,L1韓国語の関係節の認知処理のメカニズムをL2日本語の処理にも適用できると予想される。そこで,典型的な主語関係節の条件で,日本語母語話者と韓国人日本語学習者の文処理を比較した。

(3) 雑誌を読み終えた女性はすぐに帰宅しました。
(4) *雑誌を読み終えました女性はすぐに帰宅しました。

本講演では,日本語の関係節内での丁寧体使用制約について,(1)心理言語学の実験の基本概念と測定指標を説明し,(2)最新の文処理を測定する「迷路課題」の実験手法を紹介し,(3)最新の分析手法である「線形混合効果モデリング」によってデータを解析する。そして,(4)日韓の2言語間の言語的類似性と文処理の関係について第2言語習得の観点から(Jiang, et al.2011, 2015)検討する。最後に,(5)日本語の関係節内の動詞に丁寧体-masuをつけても容認される場合があるので,それについて触れる。


(3) 11月20日 (火) 午後4時半~6時

言語学分野第9回公開講演会
演題:「有声性と異化ー連濁・促音無声化を例として」
https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/event/event-sub2/9.html

後援:平成30年度名古屋大学人文学研究科研究プロジェクト経費「言語学・応用言語学分野の教育・研究促進プロジェクト」

講師: 佐野真一郎先生 (慶應義塾大学准教授)
場所:名古屋大学全学教育棟北棟4階406室
http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/
(キャンパスマップ内のB4①の建物: 名古屋市営地下鉄名城線「名古屋大学」駅①番出口徒歩5分)

入場無料・事前申し込み不要

問い合わせ: 大島義和 <oshima.yoshikazu(AT)b.mbox.nagoya-u.ac.jp>

概要: 自然言語において,有声性は有声・無声の対立による単語の区別など重要な役割を担う。本講演では,有声性に関わる音韻現象のうち日本語の連濁と促音無声化を取り上げ,これらが実際にどのような実現の仕方をするのか,またどのような要因の影響を受けるのかについてこれまでの研究成果を紹介する。両現象には様々な要因の影響が報告されており,これらを幅広く紹介するが,中でもライマンの法則・必異原理による異化を話題の中心とする。