[終了しました]第11回共創言語進化セミナー(馬塚れい子氏)のお知らせ 4/2 17:30 Zoom


新学術領域「共創言語進化」http://evolinguistics.net/ 主催の第11回共創言語進化セミナーのお知らせをさせていただきます。ご興味のある方、ぜひご参加下さい。

なお、第10回「ショウジョウバエを用いた全脳神経回路コネクトーム解析」伊藤 啓氏)は4/5まで配信予定です。
(第10回の講演内容→ http://evolinguistics.net/event/?id=event1419 、視聴申し込み(後日登録開始)→ https://forms.gle/1owwU1BLH1P9fYis7

第11回共創言語進化セミナー
タイトル: 自閉症児の韻律:韻律音声学手法を用いた解析からみえてくる特性
(Intonational Phonology can shed light on the nature of prosody in Japanese children with ASD:
Dissociating linguistic and para-linguistic aspects of intonation)
講演者: 馬塚れい子 (理化学研究所 脳神経科学研究センター 言語発達研究チーム チームリーダー)

言語 : 日本語
日時 : 2021/4/2 (金) 17:30-19:00 JST (少し延びる可能性あり)
申込サイト: https://forms.gle/X8KfZj9SovqcRQY99
(Zoom情報の通知方法が変わり、登録後すぐにメールが届くことになりました。お見落としがないようメールをご確認下さい。)

概要 :
自閉症児の発話はその韻律が不自然だと言われるが、対話者の印象に基づく記述的な報告が多く、定型児と比較してどこがどう異なるのか、また非定型な韻律が自閉症の他の特性とどのような関連があるのかについては不明な点が多い。我々の研究では、発話の韻律のうち単語のアクセントや、発話の長さなどの言語特性で決まる言語的側面と、話者交代のタイミングや強調の程度など、他者との社会的コミュニケーション
によって決まるパラ言語的側面を区別し、それぞれの特性について高機能自閉症児と定型児を比較した。その結果、言語的な要因で決まる韻律特性では、自閉症児は定形発達児と比較して全く差がみられなかった。これに対し、自然対話におけるパラー言語的な側面では、不自然だと判断された箇所が定型児に比べて5倍以上確認された。
特に、韻律のパラ言語側面の不自然さの生起回数には自閉症児、定型児を含めた対象児全体で大きな個人差があることもわかった。この個人差が、自閉症児、定型児の自閉傾向と何らかの関連があるのかを調べた。聴覚的驚愕反応は、自閉症のバイオマーカーとしての有効性が議論されているが、本研究に参加した自閉症児と定型児の聴覚驚愕反応を計測すると、その結果と韻律のパラ言語的の不自然箇所数が高い相関を示すことが分かった。これらの結果から、自閉症児の発話の韻律の不自然さは言語的な問題ではなく、自閉症のコアな症状である社会的、対人関係の困難に起因するものであり、それが自閉症の生理的指標であると言われる聴覚的驚愕反応と高い相関を示すことからも確認されたことを示す。

馬塚れい子氏について:
Duke大学心理学部の講師、Assistant Professor、Associate Professorを経て、2004年より現職。Duke大学 心理神経学部 Research Professor、早稲田大学 応用脳科学研究所、中央大学研究開発機構 客員研究員、東京大学IRCN Affiliated Faculty。新学術領域「共創言語進化」B03認知発達班研究協力者。科研費特別推進研究「アジアと欧米:コミュニケーションの文化差から言語の獲得過程を探る」研究代表者。日本語の音声獲得を通して人の脳発達のメカニズムを探り、そして、子供の言語理解は大人とどう違うかを探求している。