新学術領域「共創言語進化」http://evolinguistics.net/ 主催の第7回共創言語進化セミナーのお知らせをさせていただきます。ご興味のある方、ぜひご参加下さい。
なお、第5回「A compositional view of the origins of the modern human language faculty」(Prof. Cedric Boeckx)は12/21まで、
第6回「認知科学的言語学習モデリングと動物音声分析のための教師なし機械学習」(森田尭氏)は12/14まで配信しています。
(第5回の講演内容→ http://evolinguistics.net/event/?id=event1078 、視聴申し込み→ https://forms.gle/9V1sza4kdmvfCEdK7
第6回の講演内容→ http://evolinguistics.net/event/?id=event1207 、視聴申し込み→ https://forms.gle/Wz51Kpn1cLCEDxMK6 )
第7回共創言語進化セミナー
タイトル: 複合的言語情報に関する脳内表現の定量的モデル化
(Quantitative modeling of brain representations of multiple linguistic information)
講演者: 中井智也(情報通信研究機構・脳情報通信融合研究センター 研究員)
言語: 日本語
日時: 2020/12/23 (水) 17:30-19:00 JST (少し延びる可能性あり)
申し込みサイト: https://forms.gle/a9fUKbwHjDDeLqGU7
概要:
従来、ヒト脳において下前頭回や上側頭回などの部位は音韻・意味・統語といった特定の言語機能に関連するとされてきたが、近年そのような機能局在性に対し疑念が生じている。脳機能イメージング研究で広く用いられてきた認知的差分法は、統制された条件下で少数の変数による脳活動の差を調べるものであるが、同じ脳部位の活動に複数の言語機能が反映されている場合、それらの寄与を定量的に比較することが困難である。それに対し近年使われるようになった符号化モデルは、自然刺激下実験において複数の特徴量を同時にモデルに組み込むことができるため、各脳部位における異なる言語機能の寄与を包括的に調べることが可能である。また符号化モデルは単語埋め込みベクトルなど数百次元の言語特徴量と脳活動の関連を調べることができるため、自然言語処理のモデルを脳神経科学に応用する点でも有効である。本講演では我々がこれまで行ってきた符号化モデルによる研究を紹介すると共に、階層構造の神経基盤を調べる定量的手法として本手法の可能性を検討する。
参考文献:
– Nakai T, Nishimoto S. Quantitative models reveal the organization of diverse cognitive functions in the brain. Nature communications, 11(1), 1142-1142, 2020.
– Koide-Majima N, Nakai T, Nishimoto S. Distinct dimensions of emotion in the human brain and their representation on the cortical surface. NeuroImage, 222, 117258, 2020.
– Nakai T, Yamaguchi HQ, Nishimoto S. Convergence of modality invariance and attention selectivity in the cortical semantic circuit. bioRxiv, 160960, 2020.
– Nakai T, Okanoya K. Neural Evidence of Cross-domain Structural Interaction between Language and Arithmetic. Scientific reports, 8(1), 12873, 2018.
中井智也氏について:
2017年東京大学大学院総合文化研究科修了。博士(学術)。新学術領域「共創言語進化」A01(言語理論班)公募班代表。専門は数学能力を中心とする高次認知機能の脳神経科学。
共催:科学研究費補助金基盤研究(B)「再帰的結合と身体性を基盤としたアブダクションによる他者意図推定の研究」