第8回 HiSoPra* 研究会を2025年3月18日(火)、13:00~16:40に下記の要領で開
催いたします。
Zoom によるオンライン開催となりますので、事前の参加申し込みが必要です。
3 月 15 日(土)までに、下の URL からお申込みください。3 月 16 日(日)
に Zoom のミーティング URL をお知らせします。
https://docs.google.com/forms/d/1mUUIBB2Qvinh6AyMT37rQnndoLF-pZYP9PCE12t6iyU/edit?hl=ja
HiSoPra*研究会事務局
hisopradesk1@gmail.com
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第 8 回 HiSoPra*(歴史社会言語学・歴史語用論)研究会プログラム
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2025年3月18日(火)オンライン開催
★ 13:00 開会
第1部 研究発表
★ 13:05–13:40 研究発表 1 司会 佐藤 恵(慶應義塾大学)
太田一路(慶應義塾大学大学院 博士前期課程)
「「鉄血」(Blut und Eisen)というスローガンのイメージ喚起力をめぐって
― ビスマルクと帝国議会議員の演説をデータとして」
★ 13:45–14:20 研究発表 2 司会 家入葉子(京都大学)
樋口万里子(九州工業大学)
「The Clift Family Correspondence 1792-1846 におけるBe+V-ing構文」
第2部 ラウンドテーブル
★ 14:30–16:40
テーマ:「英語史×日本語史:呼びかけ表現と発話行為」
司会 高田博行(学習院大学)
話題提供者 福元広二(法政大学)「近代英語における呼びかけ表現」
話題提供者 森 勇太(関西大学)「近世日本語の呼びかけ表現と発話行為」
指定討論者 椎名美智(法政大学)、渋谷勝己(大阪大学)
★ 16:40 閉会
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研究発表 要旨
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太田一路(慶應義塾大学大学院 博士前期課程)
「「鉄血」(Blut und Eisen)というスローガンのイメージ喚起力をめぐって
―ビスマルクと帝国議会議員の演説をデータとして」
1862年9月30日、ビスマルクは下院予算委員会でのちに名をはせる「鉄血」演
説を行った。ドイツ語でBlut und Eisen「血と鉄」と称されるこのスローガンは、
「武力」を表すメタファーとして世界史で広く知られる。本発表では、ビスマル
ク自身の演説文(1862~1897年)および帝国議会議員の演説文(1867~1932年)
をデータとして、このスローガンの意味機能について考察する。「血」は文脈に
応じて「熱い気質」、「系統(ルーツ)」、「流血」の表象を伴い、また「鉄」
は「鍛造(金属融合)」、「手術用メス」を受け手にイメージさせた。「人と武
具」とか「兵士と武器」といった表現の場合にはありえないこの表象喚起力こそ
が、「血と鉄」というスローガンを人口に膾炙させた言語的要因であったと言え
よう。また、ビスマルク陣営は「血と鉄」を「威力」(Macht)と称したのに対
して、反ビスマルク陣営は「暴力」(Gewalt)と呼び問題性を訴えることにより、
帝国議会の議論において「名称に関わる競合」が生じていた。
樋口万里子(九州工業大学)
「The Clift Family Correspondence 1792-1846
社会言語学・認知言語学、及び語用論的観点から通時的・共時的事実を考察し、
先行研究を検証しつつ、そこから浮かび上がる同構文の本質的意味機能について
議論する。Sairio (2018)は、18世紀の書簡220万語以上を収録したコーパスで
The Clift Family Correspondence 1792-1846における頻度が例外とすべき程に
地域の影響があると示唆する。それに対し、本発表では、HMの書簡集に見られる
データと比較することにより、地域や階層は数字を左右するとは言えないことを
示す。Sairio (2018)は更にBV構文の持つ話し言葉的性質も挙げる。同構文が話
し言葉との親和性が高い理由を追求し、それはBV構文が話者のイマ・ココやその
時その場の状況を語幹動詞の描く事態の途中として捉える根幹的意味機能にある
と論じる。